【空白業種を調べてみた Vol.2-3】空運|過去最高益の直後に中東ショック。ANAとJAL、2社しかない業種の読み方

業種分析

はじめに

「運輸・物流」を4つに分解して調べるシリーズ、第3回は空運です。

私は出張で飛行機に乗ることがあり、そのときはJALやANAを利用しています。ただ、家族旅行は基本的に車移動で、たまに飛行機を使うときもLCCです。

株主優待が好きな我が家ですが、航空会社の優待(国内線の割引券)は家族のライフスタイルに合わず、あまり魅力を感じていませんでした。空運株を持っていなかったのは、そんな背景もあるのかもしれません。

我が家の「持っている業種・持っていない業種」を分析してみた
家族5人の国内個別株43銘柄を、東証33業種とTOPIX-17区分で整理。保有は18業種、空白は15業種で、医薬品・運輸・不動産はゼロでした。金融が約3割に偏った理由を、高配当・優待という銘柄選びの軸から自己分析します。

空運業ってどんな業種?

空運業は、事実上ANAホールディングスと日本航空(JAL)の2社で成り立っている業種です。

空運業 時価総額トップ5

順位企業時価総額
1ANAホールディングス1.60兆円
2日本航空1.37兆円
3スカイマーク256億円
4アジア航測216億円
5スターフライヤー72.5億円

出典:Strainer(2026年9月25日閲覧)

ANAとJALが兆円規模で、3位のスカイマークとは約50倍の差があります。空運に投資するなら、ほぼ「ANAかJALか」の選択になります。

空運株の特徴①:インバウンドで過去最高益

ANAとJALの2026年3月期は、どちらも過去最高益でした。

  • ANA:営業利益2,174億円(前期比10.6%増)
  • JAL:EBIT(財務・法人所得税前利益)2,180億円(同26.4%増)

いずれもインバウンド(訪日客)需要を取り込んだ国際線が業績をけん引し、中期経営計画の利益目標を超過達成しています。

「激務・薄利」のイメージとは違い、需要がある局面では大きく稼げる業種です。

空運株の特徴②:燃料と地政学に弱い

ところが、最高益の直後に逆風が吹きました。中東情勢の緊迫をきっかけに、ジェット燃料価格が急騰したのです。両社の経営陣は強い危機感を示していました。

2026年4〜6月期の決算では、両社とも期初に想定していた赤字を回避しました。燃料高を運賃に転嫁しながら客数を維持し、貨物やマイル関連の事業が支えになっています。ANAHDの営業利益は前年同期比44%減の207億円でしたが、黒字を確保しました。

売上はどちらも好調で、JALは5,237億円(11.2%増)、ANAHDは6,727億円(22.6%増)と、それぞれ4〜6月期・第1四半期として過去最高です。

**売上は伸びているのに、燃料費で利益が削られる。**これが空運株の弱点です。コロナ禍だけでなく、燃料価格や地政学リスクでも業績が大きく動くことがわかりました。

配当と株主優待:ANAとJALで性格が違う

配当ならJAL

JALは自己資本比率40%超と財務が強く、株主還元を重視しています。配当性向35%程度、総還元性向35〜50%が目標です。

2026年3月期の年間配当は、4期連続の増配となる96円でした。2027年3月期も96円を予想しています。2026年3月時点の予想配当利回りは3.70%で、ANAの2.04%を大きく上回っていました。

優待ならANA

株主優待(国内線の割引券)は、どちらも100株から受け取れます。ただ、枚数ではANAが有利です。100株の場合、ANAは年2枚、JALは年1枚です。

さらにANAは、2026年度上期分から優待制度を拡充し、大口・長期保有の株主を優遇する制度を新設しました。

100株の購入金額は、どちらも約30万円前後(2026年4月時点)です。

AI活用と今後の展望

旅行体験のデジタル化

JALは、スマートフォンのモバイルウォレットに登録した情報で搭乗できる、デジタルIDを使った次世代型の搭乗体験の実証に参加しています。

航空業界全体では、需要予測にもとづく運賃設定や、整備・運航データの分析などでAIの活用が広がっています。燃料が最大のコストの一つである航空会社にとって、燃費の改善や効率的な運航計画は、利益に直結するテーマです。

非航空事業と貨物で「揺れにくい会社」へ

2026年4〜6月期は、貨物やマイル関連といった航空以外の事業が、中東情勢による逆風を和らげました。両社とも、旅客の需要や燃料価格に左右されにくい収益源を育てています。

展望のまとめ

  • インバウンドは中長期の追い風。ただし燃料価格と地政学リスクで利益は大きく振れる
  • 貨物・マイル・非航空事業の成長が、業績の安定性を高めるカギ
  • デジタル化とAIで、運賃設定や運航の効率化が進む

我が家の銘柄選びの軸で見ると

  • 高配当:JALは3%台後半(2026年3月時点)で、4期連続増配
  • 株主優待:ANAの方が枚数で有利。2026年度から長期保有の優遇も新設
  • 我が家との相性:家族旅行は車移動かLCCが中心なので、国内線の割引券は使い道が限られる。優待目的なら、飛行機で帰省や旅行をする機会が多い家庭の方が恩恵は大きい
  • リスク:燃料価格・地政学・感染症など、外部要因で業績が大きく動く

まとめ

  • 空運は事実上ANAとJALの2社。選ぶなら「配当のJAL、優待のANA」
  • 2026年3月期は両社とも過去最高益。インバウンドが追い風
  • 一方で、中東情勢による燃料高で利益は大きく削られた。「売上は好調、利益は外部要因次第」の業種
  • 貨物や非航空事業、デジタル化で、揺れにくい会社を目指している

「激務・薄利」のイメージは空運には当てはまりませんでした。ただ、燃料価格や地政学リスクで利益が大きく振れる業種であることもわかりました。優待が生活に合わない我が家にとっては、持つならJALのような配当重視の視点で、業績の振れを覚悟しておく業種だと感じました。

次回は、私自身が一番馴染みのある倉庫・運輸関連編です。

参考リンク

※本記事は筆者の調査メモであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は2026年9月時点で確認できた情報に基づきます。

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